介護保険施設における建物の構造やケアの提供方式は、大きく分けてユニット型と従来型の2種類が存在する。このうち従来型施設とは、日本の施設介護において長年主流として運用されてきた伝統的な配置や構造を持つ施設のことである。特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで広く見られる形態であり、現代の高齢者福祉の基盤を支えてきた歴史がある。
従来型施設の最大の特徴は、多床室と呼ばれる相部屋が生活の基本空間となっている点である。一般的にはカーテンや家具で仕切られた4人部屋が多く、複数の利用者が同じ部屋で寝食の時間を共にする。また、食堂や機能訓練室、浴室などの共有スペースも大規模に設計されており、フロア全体で数十人規模の利用者が一堂に会して過ごす構造が一般的である。
これに伴い、ケアの体制も集団を対象とした一括管理型のシステムが基本となる。職員の配置は、少人数を固定で受け持つ形ではなく、フロア全体や棟全体を時間帯ごとのチームで巡回・担当する勤務形態が敷かれる。起床や食事、入浴、消灯といった日々のスケジュールは、施設全体あるいはフロア全体の時間割に沿って規則正しく進行していく。
このように、従来型施設は大人数の利用者を一つの大きなコミュニティとして捉え、組織的かつ計画的に日々の生活をサポートしていく点に固有の仕組みがある。個室化が進む近年の新型特養などとは一線を画す、集団生活ならではの賑やかさと、規律あるスケジュール管理によって成り立つ施設形態である。